血まみれになりながらも、降りしきる雪の中を必死で電話BOXをめざし、はっていく司馬。ケータイくらい持ってないのぉ？(^^;)　
が、やがて、力尽きて意識を失う。
夜中なので、人通りははほとんどなかったが、幸いにも、先ほど、天真楼病院に急患を運んだ救急隊員に見つけられる。

「えっ！？ここ（天真楼病院）の司馬ｾﾝｾじゃないか！！」

　 　虫の息で運び込まれた司馬の姿に、石川の死で意気消沈していたスタッフは、またも愕然とした。

　 「いつか、こういうことになるんじゃないかと思ってた・・・。」

とつぶやくのは、司馬に惚れてた看護婦・へガッパ恵美。
呆然と立ちすくむのは、またも当直だった研修医・峰。
救急医の橋本が叫ぶ。

「血管確保！酸素吸入！・・・これは私の手にはおえないな。・・・峰くん！？何やってんだ！」

「・・・ちょっと。私、呼んできます・・・。」

走りさる峰。いったい、誰を呼びに行くんだ？
医局に向かって走りながら、石川亡きことに気付き、どうしようもなく立ちどまる峰。相変わらず、役に立たん奴っちゃ。(^^;)

　看護婦から事故を知らされ、救急処置室に飛び込んでくる大槻沢子。
司馬の気持ちがはかり切れずに自ら別れたものの、結局、忘れることができなかった沢子は、瀕死の彼を見て、思わず、取り乱す。

「・・・うそっっ！司馬くん！！司馬くん！！！死なないで！！！」

　急を聞いて駆けつけた中川部長に、沢子は泣きついた。

　「先生！中川先生！！何とかしてください。…司馬を助けて！！」

　 しかし、かって手術ミスしたことによる緊張で、メスを持つと手が震える中川は躊躇する。
そのとき、司馬の意識が微かに戻ったのか、虫の息の下からつぶやきが聞こえた。

「中川・・先生・・・お・・ねがい・・し・・ま・・す・・・。」

　保身のためとはいえ、自分の手術ミスを押し付け、この子の人生を滅茶苦茶にしてしまったという罪悪感、そして、そのことをカサにきた態度で味あわされた苦い屈辱感・・・にもかかわらず、本当は最後まで自分を慕っていたという驚き。
・・・ついに中川はかっての愛弟子を助けようと決意する。

　 　執刀医 中川部長。麻酔医は大槻沢子。第一助手に峰。

「これより、左腎摘出および肝縫合手術を行います。よろしく。」

静まり返った第一手術室に中川部長の声がひびく。

「メス・・・コッヘル・・・鉗子・・・吸引・・・ガーゼ・・・」

「先生、血圧が下がっています。」

沢子が告げる。

「処置してください。」

と中川。
昇圧剤を入れ、血圧が戻ったことを確かめると、沢子は、司馬を見た。
静かに目を閉じている蒼白な横顔は、あの頃とちっとも変わっていないのに、どうしてこんなことになってしまったんだろう・・・と昔を回想する沢子。
出会ったばかりの頃は、無口で照れ屋だったけど、決して冷たい人ではなかった。なのに、あのときから急に人が変わってしまって・・と執刀する中川を見上げる。
司馬の顔に目を戻した沢子は、「がんばって・・司馬くん。」とつぶやいた。
もう、決して一人にはしないから・・・心の中でつぶやくと、はにかむように 微笑む昔の彼が目に浮かんだ。
　淡々と手術は進み、いよいよ傷ついた左腎が姿を現わした。

「コッヘル・・・30シルク・・・」　

左腎動脈を縛る。

「これより、傷ついた左腎を摘出します。メス・・・。」　 　ここで、ふと司馬の顔に目をやる中川。
これまでの彼とのいろいろなやりとりが頭の中を駆け巡り、いやが上にも高まる緊張 感。

　そのころ、意識のない司馬は夢を見ていた。
白い霧の中を彷徨う自分を、遠くから呼び続ける声が聞こえる。

「司馬くん、行かないで・・・」

沢子が背後から抱きついてきた。
柔らかい女の感触のはずだった・・・。
が、何かおかしい。
思わず、振り返った司馬は、そこにニンマリ笑う石川を見る。

「僕は認めなーい！」

　一方、中川部長のメスは縛った動脈の腎臓側ではなく、心臓側にささっていたのだった。再び天井まで届く血飛沫！！！

　 　・・・司馬ｾﾝｾはとどめをさされたのでした。 YAH YAH YAH〜〜♪

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BGMタイトル	歩くたびに透きとおる風
作曲	飛鳥 涼
MIDI	しらぽん