それは司馬が平賀に突き落とされて、右手を捻挫したのがようやく直ったころ。
捻挫治癒後の最初の手術が心臓の弁置換手術だったのだが、人工弁がなかなか病院に着かない。そこに敵対する組長を襲撃し、反対にピストルで撃たれたヤクザ（段田安則）が現われ、峰（松下由樹）を脅して司馬に極秘手術をさせようとする。1000万円で司馬は引き受ける。

　一方、弁置換手術の患者の容態が悪化してきたため、石川（石黒賢）は手術を急ぎ、弁がまだ到着していないのにもかかわらず、手術を始めてしまう。
　人工弁はようやく病院に着き、医療ライター尾上（長谷川初範）の取材を受けていた中川部長（鹿賀丈史）が受け取りにいき、オットーの星野（中村あずさ）、カウンセラーの稲村（佐藤B作）といっしょにエレベーターに乗り込むのだが、積雪のため停電、エレベーター内に閉じ込められてしまう。

接待の約束を受けていた尾上は、「すぐ帰ってくるから」と言って出ていった中川が戻ってこないため、しかたなく帰ろうとするが、仕返しを恐れて病院から逃げ出した術後のヤクザと病院の前で交通事故を起こしてしまう。

　 　ケガ人は二人。しかし、オペ室は一つが弁置換を待つ患者でふさがっており、一つしか空いていない。レントゲンの結果から、ヤクザのほうを優先することになるが、オペの支度をしながら再検討する司馬は、尾上がより重態であることに気付き、順序を差し替えようとする。

　そのとき、尾上は司馬を呼び、自分を先にしてくれたら名前を売ってやると買収しようとした。が、司馬は「より重態のほうが先です。私、悪い医者にはなりたくないもんで。」とその話を断わるような顔をして出ていく。
そして、尾上を先にすることにする。他の人はみな、司馬が、売名行為のためにそうしたのだと思い込むが、さすがに中川部長は真実に気が付いた。（後のこと）

　一方、エレベーターの中では，必死に脱出が試みられている。最初は稲村、次に星野。中川部長はなかなか腰をあげず、星野から軽蔑されてしまうが、最終的に元体操部だった中川部長が天井から脱出することに成功し、なんとか人工弁を届けることができた。

　三つの手術が無事済んだ夜半、花束をもってお見舞にやってきた男をみて、不審に思った司馬はそれが仕返しのヤクザであることに気付いて、患者をかばい、右腕を撃たれてしまう。銃弾摘出手術をするのは石川。司馬は「死んでもイヤだ。」と拒むが、結局、手術してもらうことになる。で、石川に向かって「なかなかいい腕だった。この借りは必ず返す。」と言って別れる。

　ということを、思い出しながら這う司馬はついに力つきて仰向けになり、動けない。静かに目を閉じる司馬の顔に雪が降りそそぐ。

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